Engineering company improves project efficiency across the globe with Maplesoft calculation tools - Maplesoft

ケーススタディ:
Maplesoft の計算ツールで世界中のプロジェクトの効率を向上させたエンジニアリング企業

このケーススタディでは、国際的な総合エンジニアリング企業が、使用している標準的な計算方法やツールが体系化されていないことで生じるビジネス上の課題を克服するために、Maplesoft の技術をどのように利用しているかを示しています。細部には改変があり、企業名は仮名ですが、Maplesoft 製品の使用方法については実際と同様に描かれています。


直面した課題
グローバルエンジニアリング社(GEC)は、電力、道路、鉄道、都市インフラ、海洋など、数多くの大型インフラプロジェクトを世界各地で展開している、従業員1万人の国際的な総合エンジニアリング企業です。彼らは、土木エンジニア、機械エンジニア、電気エンジニアなど、世界の各部署でさまざまなタイプのエンジニアを雇用しています。プロジェクトの性質が多様であること、スタッフのバックグラウンドが異なること、国際的な協力が必要であることなどから、GECは、使用している標準的な計算方法やツールが 体系化されていないことで生じる、以下のようなビジネス上の課題に直面していました。

  • 効率の悪い表計算ソフトや手書きによる計算書
    • 計算書の作成が不十分
    • 技術的な背景が埋もれて隠れてしまっている
    • ミスが発生しやすく、追跡が難しい
    • 計算の理解、拡張、共有が容易でない

  • 不十分な標準化と、世界中に散らばるエンジニア
    • 計算方法が統一されていないため、異なる海外拠点のエンジニアが共同で解析を行うことが難しい
    • 誤解によって効率が悪くなり、プロジェクトのリスクが発生する

  • エンジニアの退職・転職
    • 経験豊富なエンジニアの知識やスキルが、退職や転職によって失われる

  • エンジニアのグループやプロジェクトによって、数学的な要件が異なる
    • エンジニアは、プロジェクトごとに最適なツールを選択できるとは限らず、時により異なるニーズを念頭にツールを使わなければならないことがある
    • 異なるニーズを満たすために、異なるベンダーの異なるツールのライセンスを取得することは、時間、費用、管理コストの点で非効率


転換への道
複数のベンダーを評価した結果、GEC は Maplesoft の相互運用可能な数学ツールとトレーニング/コンサルティングサービスのコレクションを選びました。このツールでは以下のようなことが可能です。

  • 設計エンジニアの計算、レポート作成、探索的データ解析能力の向上を支援
  • 研究者が数式計算、数値計算、アルゴリズム設計を駆使してモデルを開発

さらに、Maplesoft が提供するグローバルライセンスは費用対効果が高く、エンジニアはニーズやプロジェクトに応じて異なる Maplesoft ツール間でスワップすることが可能です。短期間のプロジェクトであれば、ネットワークインストールしたライセンスを使用することもできますし、ライセンスのクラスタをサーバーから別のサーバーに移動させることも可能です。

このケーススタディでは、GEC の様々な国際グループにおける Maplesoft の技術の活用方法についてご紹介します。



イギリスの構造解析グループ

欧州の天然ガスへの依存度を最小限にするために原子力発電が推進されており、GEC の英国を拠点とする構造グループは、20〜30年にわたる長期の原子力プロジェクトに携わることになりました。

それまで使われていた計算ツールは Excel® でした。Excel を使用していた時は、Excel からMicrosoft® Word に計算結果を手作業で転記して報告書を作成していましたが、これは面倒でミスの多いプロセスでした。また、パラメータが変更された場合、エンジニアは結果を書き写して報告書を更新しなければなりませんでした。

現在、チームは Maple Flow™ を使用して、国際的に認証された基準に則ったコンクリート構造設計を含む解析が組み込まれた、読みやすい計算報告書を作成しています。彼らは、解析の助けとなるよう、再利用可能な断面特性(Section Properties)のライブラリを作成しました。手作業による転記は必要ありません。

この仕事は規制が厳しいため、計算結果はプロジェクト期間中(20~30年)、監査可能で追跡可能である必要があります。Maple Flow ドキュメントは、計算結果、可視化した表現、テキスト、画像をひとつのドキュメントにまとめているため、計算の背後にある工学的根拠が明確に伝わり、エンジニアがプロジェクトから離れたときに知識が失われるリスクを軽減できます。パラメータが変更されると、すべての結果が自動的にドキュメントに反映されるため、別の計算文書を手動で更新する必要もありません。中には30ページを超える報告書もあり、従来は作成と更新に時間がかかっていましたが、Maple Flow は計算報告書作成にかかる時間を75%削減しました。

Maple Flow は世界で最も強力な数学エンジンをベースに作られていますが、GEC の土木設計実習プログラムで使用するのに十分なシンプルさも兼ね備えています。設計実習生とは、ヨーロッパ規格の梁の荷重計算など、簡単な解析作業を行う学生です。また、シニアエンジニアも、Maple Flow で作業することでより簡単にチェックできるようになりました。


中国における橋梁設計グループ

中国のある橋梁設計グループは、橋梁床桁の設計を代表とする設計計算に Excel を使用していました。しかし、Excel のスプレッドシートはデバッグや共有が難しいため、このグループは設計計算を Maple Flow に移行することを選択しました。この変更により、計算ミスが完全になくなり、また、文書化のために Excel から Word に計算を転記するという手作業も完全になくなりました。その結果、計算の信頼性が向上し、計算ミスが20%減少しました。

このグループは、Maplesoft の中国を拠点とするエンジニアによってトレーニングを受けました。トレーニングでは、Maple Flow に組み込まれた単位のサポートを活用し、標準的な設計基準にある次元に一貫性のない経験式を、次元を考慮した環境に実装する方法を学びました。





米国における水理学技術者
米国 GEC 本社の河川技術者は、現場などどこからでもアクセスできる水理学計算ツールを必要としていました。このエンジニアは、Maple™ の数学エンジンとマウス操作で利用できる数学アプリケーションを簡単に作成できる環境の両方を利用して、インタラクティブな計算ツールを開発しました。完成した水理学計算ツールは、MapleNet™ を通じて Web 上に展開されました。その結果、GEC の社員であれば誰でも Web ブラウザからアクセスでき、計算ソフトの使用経験がない人でも簡単に使える水理学計算ツールとなりました。



英国における鉄道技術グループ
GEC の英国オフィスにいる腐食エンジニアのチームは、鉄道線路の腐食と故障率を解析しています。この中で、大量の現場データ(数十万要素)を Mapleで解析することを行っています。

チームの分析には、大規模なデータファイルのプロット、操作、分析が含まれます。Maple は、解析の高速化とメモリ効率の向上を実現します。さらに、自動並列処理とマルチプロセス・プログラミング・ツールにより、ローカルコンピュータのすべてのコアに分析を分散させることができます。マルチスレッド化された Maple の各分析は、Excel の2倍、Python スクリプトの1.5倍の速さで計算します。

鉄道部門の共同グループは、Maple を使用して、Maple 言語によるカスタムアルゴリズムを開発しています。これらのアルゴリズムの一部は、サードパーティのツールに組み込むために、Maple のコード生成ツールを使ってC言語プログラミングにエクスポートされます。


フランスにおける数理解析と科学ソフトウェア開発
GEC の数理研究エンジニアの小さなグループはフランスに本部を置いています。このチームは、数学的な解決を必要とする複雑な工学的問題に定期的に対処していて、コンピュータ代数、数値計算、可視化などの手法を駆使しています。

同グループでは、Maple Flow を使ってまずラフに描いた技術的なアイデアを、徐々に計算を洗練させていくことで形にしていきます。Maple Flow は、そのホワイトボードのように使える環境で、問題解決によく使われるこのような反復的なアプローチをサポートし、同時に、計算が正しいかどうかを確認することができます。また、Maple Flow は、次のステップへの洞察につながる包括的な可視化を行うこともできます。


まとめ
GEC は、Maple Flow、Maple、MapleNet を含む Maplesoft の数学技術を世界の複数の部署に導入し、成功を収めています。彼らは、様々なニーズを満たす汎用性の高いツールセットによって、構造化、標準化した計算をワークフローに取り入れ、効率の向上を実現しました。また、単一のテクノロジーベンダーであることの簡便性や、必要なときにいつでも駆けつけて支援してくれる迅速で経験豊富なエンジニアリングコンサルタントチームの存在も、大きなメリットになりました。



MapleFlow がお客様のプロジェクトにどのように役立つのか、Maplesoftにお問い合わせください。