ユーザー事例:
ロール・ツー・ロールシステム性能向上のためのMapleSimウェブハンドリングライブラリ適用
ハイライト
コンバーティングマシンやウェブハンドリングマシンの市場をリードする機械開発メーカーは、ウェブ張力の変動に起因する品質問題を軽減しながら、紙加工システムのスループットを向上させる方法を模索していました。
課題
品質への懸念から、ウェブの最大速度が制限されていた
同社の機械設計チームは、ライン上のある点において、ウェブの不要なスリップを確認していました。紙やプラスチックフィルムにかかる張力の変化を測定するためには、ロードセルの取り付けが必要で、しかも特定のローラーの位置でしか情報を得られないため、ウェブのスリップはライン全体の速度を下げることでしか改善されませんでした。
その結果、新しいハードウェアを追加する前に、異なるスパンにおけるウェブの張力を表現し、制御戦略を変更した場合の効果を確認できるシステムのバーチャルモデルを作成するために、Maplesoftと協調して課題に取り組むことにしました。バーチャルモデルは、開発時間の短縮、コスト削減、実際の性能問題の診断に役立つ高度なモデリングおよびシミュレーションツールであるMapleSimを使用して作成されました。
推奨ソリューション
同社はこれまで機械の設計にシミュレーションを使用していませんでしたが、Maplesoftの機械モデリングに関する豊富な経験と、MapleSimのもたらす総合的な価値、すなわち高価な物理的ハードウェアの変更に頼る前に、バーチャルモデリングとシミュレーションによって機械の性能を向上させるというソリューションを高く評価しました。
Maplesoftは機械設計チームと協力し、MapleSimのウェブハンドリングライブラリの組み込みコンポーネントを使用して、ロール・ツー・ロールシステムのデジタルモデルを作成しました。紙とプラスチックロールのサイズ、厚み、摩擦係数のバリエーションは、様々なユースケースに対応するために、すばやくかつ簡単に調整できるパラメータとしました。
同社は、最新の生産機器のデータを使ってモデルを調整し、特定のコンバーティングシステム全体の張力を予測する信頼性の高い方法を確立することができました。次にチームはモデルを分析することで、不要なスリップを最小限に抑え、ライン全体の張力を管理するための制御戦略を特定しました。これらの戦略は、生産システムに適用する前に、(エミュレートされたPLCに対して実行される)バーチャルモデルを使用してテストされました。
結果
機械設計チームは、バーチャルモデルを開発し、ウェブスパン全体の張力を予測する信頼性の高い方法を作成し、ウェブ張力管理の改善を行うことができました。張力の変動を抑えることで、高価なハードウェアに変更することなく、ウェブハンドリングシステムのスループットを最大8%まで安全に向上させることができました。
さらにマシンの最適化により、異なる材料を扱う場合でもウェブの品質がより安定し、ローディング時やコンバーティングプロセスを停止した際の無駄が少なくなりました。